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メタバースへの参入が続々、デジタルツインを軸に産業の仕組みを刷新せよ

2022年03月31日更新

近年、耳にすることが多いキーワードである「メタバース」。仮想空間のビジネス活用を指すメタバースは、ゲームなどのエンターテインメント分野で大きく発展し、普及しています。その技術を活用することで、デジタル空間上に倉庫や都市を造ることも可能です。

このような技術を「デジタルツイン」と呼びます。バーチャル空間にリアルの複製版(コピー)を作成する発想で、製造業や建設業などから注目を集めています。この記事では、メタバースについて、その軸となる技術で、近年注目されることが多い「デジタルツイン」を含めて解説します。

メタバースは巨大な市場規模へ

メタバースとは、変化、高次、超越という意味の「メタ(meta)」と、宇宙を意味する「ユニバース(universe)」を組み合わせた造語です。定義は広いですが、「インターネット上にある仮想空間」のことを意味する言葉として使われるのが一般的です。

近年耳にすることが多いキーワードですが、言葉自体は30年ほど前のSF小説に登場しています。昔はSFの技術だったものですが、今となっては現実になりつつあるわけです。

具体的なメタバースとしては、例えばFacebookのVR会議アプリ「Horizon Workrooms」、シューティングゲーム「フォートナイト」、NFTゲーム「The Sandbox」などが挙げられます。

(FacebookのVR会議アプリ「Horizon Workrooms」)

FacebookのVR会議アプリ「Horizon Workrooms

経済産業省は作成した調査報告資料で、仮想空間のビジネス活用とメタバースについて説明しています。現段階における仮想空間のビジネス活用は、仮想空間内で自社サービスを提供するか、仮想空間をプラットフォームとして提供するかに分類されているものの、今後の「メタバース」の登場を見据えています。

そこで、下図のように、仮想空間のビジネス活用においてメタバースも含めて考えています。メタバースは、1つの仮想空間内でさまざまな領域のサービスやコンテンツが生産者から消費者へ提供することが特徴となっています。

出典:経済産業省「仮想空間の今後の可能性と諸課題に関する調査分析事業 報告書」より

出典:経済産業省「仮想空間の今後の可能性と諸課題に関する調査分析事業 報告書」より

米メディアのブルームバーグは、独自の分析に加え、IDCやPwCなど他社の見解をまとめた上で、メタバース市場の売上高を予測しました。2020年に5000億ドルだったメタバース市場は、今後二桁成長を続け、2024年には7833億ドルになるとしています。

ゲームや音楽分野では普及期に

メタバースを活用することで、仮想空間上に建物を建てたり、好きなアイテムを購入したりできます。このようなことから以前からゲーム分野との相性が良く、現在でも不特定多数のプレーヤーが1つの仮想空間にアクセスして、冒険やプレーヤー同士の交流を楽しんでいます。

音楽分野においては、仮想空間上に音楽フェス会場を構築し、遠隔地でもアーティストのライブをリアルに近い感覚で楽しめるようになっています。ゲーム、音楽のいずれも、まだ普及段階にあり、今後はより現実との境界線がなくなってリアルな体験ができるようになるでしょう。

Facebookがメタバース市場に参入

2021年10月にフェイスブック社が社名を「メタ(メタ・プラットフォームズ)」に変更したことが大きな話題になりました。CEOのマーク・ザッカーバーグ氏は、メタバース企業になると宣言しています。

仮想現実(VR)や拡張現実(AR)の技術をさらに高めて、自分自身のアバターを使って仮想空間にアクセスできる環境を開発しています。FacebookやInstagramなどのSNSを扱うメタ社が、気軽に仮想空間にアクセスできる技術を完成し、普及させれば、生活は大きく変わっていくでしょう。

GAFAの一角である旧フェイスブックが、社名を変えてまで大々的にメタバース市場に参入したこともあり、世間の関心は急速に高まっているのです。

メタバースと共に注目されている「デジタルツイン」技術

ここまで紹介した通り、メタバースは現実の中に非現実を取り入れて楽しむもの、あるいはビジネスに革新を起こすものとしての活用が見込まれています。しかし、エンターテインメント分野以外にも、メタバースの技術は注目されています。

最も具体的な分野は製造業などです。リアルの複製版と前述したデジタルツイン技術は、直訳すると「デジタル上の双子」という意味です。現実(リアル)の空間にあるものの情報を集めて仮想空間上にリアル空間を再現する技術のことで、メタバースの相性が良いため、今後の発展が期待されています。

例えば、倉庫などの情報をスキャンして仮想空間にコピーすることで、正確な情報を把握できるようにします。ゲームや音楽などとはイメージが異なりますが、「リアルに近い条件でシミュレーションする」という意味で、このデジタルツインで使われる仮想空間は、紛れもなくメタバースの一種といえるでしょう。

鍵を握るIoT

デジタルツインが注目されている背景には、あらゆるモノをインターネットでつなぐIoT(Internet of Things)の進化があります。仮想空間上にコピーを再現するためには、空間の情報をセンサーでとらえ、正確にデジタルデータ化する必要があります。それを担うのがIoTなのです。IoTはまさにリアルタイムかつ自動的にデータを取得するための切り札なのです。

その結果、仮想空間上に精度の高い現実空間を作れるようになりました。デジタルツイン技術を活用するメリットは大きく分けて、コスト削減、業務の効率化、リスクの回避の3つです。それぞれについて紹介しましょう。

コスト削減

製造業において試作品を作る時、現実空間であれば、資材を用意する必要があるためコストがかかります。一方、仮想空間であれば、コンピュータ上でデータとして試作品を作れるため、コスト削減につながるでしょう。もちろん、小型の試作品だけでなく、土地や建物など規模の大きいものも対象になります。「街の試作品」を実物でつくるわけにはいきませんので、規模が大きいものほど、デジタルツイン活用のメリットがあります。

業務の効率化

仮想空間を利用してシミュレーションすることで、業務の効率化を図れます。リアルタイムにデータを収集し、反映できるため、従業員の稼働状況、作業の負荷、人員の配置、製造プロセスなどを最適化しやすくなります。

リスクの回避

デジタルツインの活用は、業務効率化だけではありません。高度なシミュレーションを行うことでリスク回避に利用できます。現実空間を忠実に再現した環境であれば、トラブルや事故などを高精度で予測できるでしょう。

製造業や倉庫業との親和性

デジタルツインは製造業や倉庫業などで活用されます。製造業であれば試作品を作成するコストを削減できるでしょう。倉庫業であれば、倉庫内の状況をリアルタイムで正確に把握でき、精度が高いシミュレーションを行えます。最適な人員配置などの予測も行えるため、業務効率化を図りやすいでしょう。

他にも、建設分野などにも注目されています。規模が大きいものでも仮想空間上のデータであれば、現物を作るよりもコストを抑えられます。

デジタルツイン技術をベースにしたメタバースは、仮想空間上にデータを構築する必要があるため、情報収集に手間がかかります。実際に精緻な3Dデータを生成する必要があるため、参入・導入が難しく、コストや時間がかかるのが課題でした。

そこで、AI(人工知能)や高度なスキャン技術を組み合わることで、コストを抑えたりスピーディーに環境を構築できたりします。コストが低く、手軽に導入できるものであれば、大企業だけでなく、中小企業も活用しやすいため、どんどん普及していくでしょう。

近年では、スキャンとAIの技術が進歩しており、1つの建物だけでなく都市空間までも細かく再現できるようになっています。現実と同じような見た目の広大な空間を利用できるようになれば、それ以外のメタバースサービスの進化も加速していくでしょう。

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さらに、今後は自動車の交通量、人の流れ、気温などのさまざまなデータを組み込むことで、さらに高度なシミュレーションを行えると期待されています。

メタバースはエンターテインメント向けのサービスとして認識されることが多いですが、技術を応用することで、身近なビジネスを加速させる大きな要因になることが見込まれているのです。

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記助
IT業界に限らず、さまざまな分野に携わるマルチライター。
メタバースやAIなど、ホットな話題を提供します。
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