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普及進むRPA、AIとの組み合わせや開発と運用のクラウド活用でさらに進化

2022年07月04日更新

ソフトウェアロボットによる業務の自動化を指す「RPA(Robotic Process Automation)」が普及しています。利用方法も、交通費精算の確認作業などの単純なものから広がりを見せており、ERPなど既存システムと連携し、より高度な業務を自動化する動きが高まっています。DX実現の一角を担う技術として注目されているRPAの最新動向を見てみましょう。

ミスなし、疲れ知らずの「デジタルレイバー」

RPAとは、PCで人が行う作業をソフトウェア型ロボットが代行する技術です。経理であれば支出入データの取り込み、伝票記帳といったルール化できる単純作業で主に用いられています。そのため、仮想知的労働者、デジタルワーカー、デジタルレイバーなどと称されることもあります。

メリットはさまざまです。自動化は業務効率化につながりますし、人手不足の解消策として期待されています。また、人がやるとミスは避けられませんが、ロボットは間違えません。ロボットは疲れ知らずでもあります。電源が入っていれば、同じ作業をずっと続けてくれます。このように自動化できる単純な業務を、RPAを導入してロボットに任せることで、人間は空いた時間を人間にしかできないことに割くことができます。

また、多くの場合でRPAツールにはグラフィカルなインターフェースが用意されており、プログラミングなど専門知識がないユーザーでもロボットを作成できます。ビジネス主導で導入できることも重要な特徴となっています。

このようなメリットに働き方改革の流れが加勢し、RPAの導入は進んでいます。MM総研のRPA国内利用動向調査 (2021年1月調査)によると、売上高50億円以上の企業では37%が、大手では過半数が導入しているとのこと。売上高50億円未満の導入率は10%ですが、今後数年で普及期を迎えると予想しています。

RPA導入率の推移(MM総研のRPA国内利用動向調査 2021)

RPA導入率の推移(MM総研のRPA国内利用動向調査 2021)

コロナ禍でも威力を発揮したRPA

RPAの事例を見てみましょう。流通・小売のマツモトキヨシホールディングスでは、3年で約500種類の業務をRPAで自動化しています。同社は財務経理部では経費の振替での振替先と金額の確認、Excelへの転記などを自動化したほか、商品部でも買い付けのための資料集め、データの抽出と加工といった業務でRPA化を進め、処理時間の高速化と担当者の業務軽減を実現しているといいます。

Matsumoto Kiyoshi

出典:Shutterstock

ドイツの通信事業者Telefonica Germanyは、4200万人の携帯電話顧客の契約更新業務でRPAを導入、バックエンドの契約情報入力を自動化しました。契約更新時はアップセルのチャンスであると同時に、顧客が他社に乗り換えるリスクもあります。担当者は面倒な作業をロボットに任せ、自分は顧客のニーズを汲み取るという重要なことに時間を割くことができます。

コロナ禍では、リモートワークのための体制を導入することが優先されRPAへの投資は減少したと言われます。一方で、RPAを導入していた企業はコロナ禍で活用を拡大させているようです。MM総研によると、RPAを導入済みの企業では、コロナ禍でRPAを活用する部門や業務の数が「増えた」という企業は47%、「減った」という回答はわずか14%にとどまっています。MM総研では、「限られた従業員での業務遂行や在宅での効率的な作業実現のためにRPAを活用するケースが増えているため」と分析しています。

AI × RPAでさらに高度に

単純な提携作業をロボットが代用する技術として登場したRPAですが、その役割は拡大しています。それを後押ししているのが、AIとの組み合わせです。チャットボット、音声のテキスト変換、画像・文字認識、データ分析などのAIをRPAに組み合わせる動きが始まっているのです。

例えば、チャットボットとの組み合わせにより、ボットが単語を認識したり、意図を解釈してチャットボットに寄せられた問い合わせを分類したりして、RPAでその内容に応じた作業を自動化させることが考えられます。

画像認識では、RPAで初期のスクリーニングを行い、AIを使ってレントゲン写真から特定の症候を認識したら、自動で医師や看護士にアラートを送るなどのことも可能になりそうです。

AIの中でも、文字部分を文字データに変換する光学文字認識機能(OCR)にAIを組み合わせて文字認識率などを改善するAI-OCRとRPAは特に相性が良いようです。例えばAI-OCRを使って請求書情報を読み取った後に、確認や転記など次の作業まで自動化できます。

MM総研によると、AI-OCRの導入率は7%にとどまりますが、RPAを導入している企業のうちAI-OCRを導入している企業は15%と導入率が上がっています。

経済産業省が2020年12月に公開した「DXレポート2(中間取りまとめ)」では、コロナ禍を契機に企業が直ちに取り組むべきアクションとして、OCRを用いた紙書類の電子化、RPAによる提携業務の自動化を挙げています。

RPAの開発、管理・運用でクラウド活用の動き

RPAの進化は用途の拡大にとどまりません。ロボットの開発と運用でクラウドを利用する動きがあります。

開発面では、RPAベンダーの多くがSaaSとしての提供を進めています。ブラウザ経由で利用するため、どこからでも動かすことができます。他のクラウドと連携できる機能が用意されていることもあります。クラウドに乗ることで、作成したロボットなどの部品を共有するサービスも増えています。同じような業務であれば、すでにできている部品を再利用することで、迅速にロボットを導入できます。

運用では、ロボットをクラウドで管理できるようにしたり、最新版に自動でアップデートしたりする機能も出てきています。これにより、突然エラーが発生するようになったといったトラブルを回避できます。

RPAは現在、大企業にとどまっていますが、クラウドの手軽さ、容易さといったメリットも享受できることで、中堅・中小企業でもRPAを試しやすくなりそうです。

RPAのトレンドとして、既存システムとの連携も挙げられます。例えば、会計、生産、物流といった企業の基幹業務を担うERPと連携することで、より高度な業務の自動化が可能となります。ERPシステムのバックグラウンド処理としてデータ入出力を行ったり、請求書作成と見積書発行を連携したりなどの方法が考えられます。

また、プロセスマイニングを行い、どの作業をRPAで自動化できるかを見るという動きも出てきています。RPAの課題の1つに、どの業務をRPA化するかがわからないという問題がありますが、プロセスマイニングによる検出はこの課題の解決の一助となりそうです。

調査会社ガートナーのハイプサイクルでは、RPAの理解が進み適用範囲の拡大について現実的な取り組みが始まっていることから、「過度な期待」のピーク期をすぎ、RPAは幻滅期(啓発期の前段階)に入ったと見ています。

RPAはこのように進化を続けており、用途も広がりを見せています。導入により、これまで人が行っていた繰り返しが多い作業を自動化、高速化でき、働き方改革の推進というメリットも得られます。また、AIとの組み合わせなどで高度な業務の自動化を進めることで、DXの一端を担う重要な技術といえるでしょう。

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岡田陽子
ビジネスを変革するための企業のIT活用について、海外を含めて長年にわたって取材、執筆している。
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